2015年09月21日

なぜエリート社員がリーダーになると、イノベf−ションは失敗するのか(著者:井上功)

投資ファンドやコンサルファーム出身者が幅を聞かせるようになった状況を憂いていたので、
タイトルに共感して思わず手に取った一冊。意に反してエリート=東大出身や官僚などの頭でっかち、
という定義ではなくて、エリート=既存の枠をはみ出せないビジネスパーソン。つまり優等生。
という風に解釈すべき内容だった。著者が言いたいのはシンプルに言えば、
マーケティング(既存事業の推進)からはイノベーションは生まれない。 
という事。社会に新しい価値を創造する事=イノベーションとした時に、
イノベーションにとっては、既存事業で重宝されるKPIやROIなどはむしろ足枷となるので
全く別の価値基準で、全く別の決断プロセスを通し、辛抱強く育てなければならないという事を
強く主張していた。一見不合理で不利益に見えるのがイノベーションである。
弊社は2014年2月に投資ファンドに買収されてほぼ100%子会社となった。
ファンドのミッションは、良し悪しではなくて、短期的にいかに時価総額を最大化するかという事に
尽きるが、ROIが見えなかったり低い上に時間がかかるイノベーションとはまさに対局の価値基準で
意思決定をする人々である。経営がそうした状況下でイノベーションを実現するのは極めて困難だが、
文中のワンフレーズには勇気づけられた。「経営者を根負けさせろ」。そう、結局のところイノベーションにとって重要なのは「実現したいその世界を自分が信じてやり抜けるか」という事に他ならないのだ。

*********************************************************************************************
■印象に残った言葉たち
・モノよりコト。機能より意味。
・イノベーションの多くは、既存事業の根本価値を問い直すことから生まれる
・「リ ポジション」
 世の中が大きく変わっていくなかで、今までと同じ仕事内容、同じ仕事のやり方では、
 いずれ太刀打ちできなくなる。だったら一度立ち止まって、自分の仕事を再定義してみよう。
・一歩引いた視点から自社の経営資源を見直し、その価値を掘り下げる。必要があれば、
 新たな資源の調達に動く。
・言葉に徹底してこだわることが、イノベーションにつながる的確なコミュニケーションには不可欠
・共通見解を持ち続ける為に、コンパクトなコミュニケーション構造にする
・組織の中に異質な場所をつくる
・営業畑の人間が会社を動かすようになると、製品畑の人間は重視されなくなり辞める
・イノベーターは情念で行動する。マネージャーはそれに共感し、盛り上げる。
 組織はプロセスをつくって資源を確保し、認知・称賛を繰り返す。
 経営者は慣行の外に出る。
*********************************************************************************************

最後に、イノベーションを体現し続けた故:スティーブ・ジョブス氏が米スタンフォード大学の
卒業式で行ったスピーチの締めくくりを引用したい。

「Stay hungry, Stay foolish. (ハングリーであれ。愚か者であれ。)」
posted by たかしまん at 23:42 | 東京 ☁ | Comment(0) | 読書の後に | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。